予期せぬアクセス集中でWebサイトがダウン？Cloudflare Waiting Roomで機会損失を防ぐ

ECサイトのセール開始、人気チケットの発売、メディアでの紹介――。現代において、ウェブサイトやオンラインサービスへのアクセスが急増する瞬間は、ビジネスチャンスの宝庫であると同時に、サーバーダウンや表示遅延という深刻なリスクと隣り合わせです。ひとたびサイトが停止すれば、売上機会の損失、顧客からの不満、そしてブランドイメージの毀損に直結しかねません。

医師の診察を待つ間に待合室で順番を待つように、オンラインサービスも一度に処理できる数には限りがあります。サーバーは医師より多くのリクエストをこなせますが、それでも許容量を超えればパンクしてしまいます。ここで、ユーザーに不満なくサービスを提供し続けるには、どうすれば良いのでしょうか？

この課題を解決するために、Cloudflareが提供する機能が「Waiting Room（待合室）」です。これは、ウェブサイトへのアクセスが集中した際に、ユーザーを仮想の待機列に自動で誘導し、サーバーの負荷を適切に保ちながら、順番にサイトへ案内する「オンラインの整理券システム」のようなものです。

Waiting Roomを導入することで、予期せぬトラフィックの急増からアプリケーションの信頼性を維持し、ユーザーをスムーズに誘導することが可能になります。これにより、顧客体験を損なうことなくビジネスチャンスを守り、安定したサービス提供を実現できるのです。

Cloudflare Waiting Roomの導入は、複雑なコーディングやアプリケーションの大規模な変更を必要としません。極めてシンプルな設定で、ウェブサイトの信頼性を維持し、予期せぬトラフィックの急増から保護できるように設計されています。

直感的なセットアップと自動制御

Waiting Roomの設定は、以下のわずか5つの項目を入力するだけで完了します。

　1・待機室の名前：管理上の識別名を設定します。
　2・ホスト名：Waiting Roomを適用するウェブサイトのドメイン（例: www.example.com）を指定します。
　3・特定時間のアクティブユーザー合計数：サイトが正常に処理できる同時接続ユーザー数の上限を設定します。
　　この数値を超えると待機室が有効になります。
　4・1分あたりの新規ユーザー許可数（流入速度の設定）：サーバーが過負荷にならないよう、
　　　1分間に待機列からウェブサイトへ「入ってもOK」とするユーザーの最大人数を設定します。
　　　これにより、ユーザーの流入速度を正確にコントロールします。
　5・特定ユーザーのセッション期間：ユーザーがサイト内に滞在できる時間（例：30分間）を設定します。
　　　この期間を過ぎると、再び待機列に戻る可能性があります。

これらの設定により、指定したしきい値を超えると自動的に待機室が有効化され、ウェブサイトがダウンするのを未然に防ぎます。また、サイト内のユーザー数が減少したり、負荷に余裕ができたりすると、待機列から新しいユーザーを自動で取り込む動的なアウトフロー機能（ウェブサイトの負荷状況に応じて、待機中のユーザーを自動でサイト内へ案内する仕組み）も備わっています。これにより、サイトが耐えられる範囲で常に最大限のユーザーを受け入れ、機会損失を防ぎます。

ユーザーフレンドリーな体験とパフォーマンスの維持

Waiting Roomは、ユーザー体験も重視しています。Cloudflareの広範なネットワークとWorkersのパフォーマンスを活用することで、待機中の遅延を最小限に抑え、エンドユーザーに提示される推定待ち時間をできるだけ正確にします。これにより、ユーザーは漠然と待たされることなく、「あと何秒でアクセスできる」といった具体的な案内を受けることができ、不必要な離脱を防ぎます。

例えば、オリジンサーバーが同時に1,000人までの購入しか処理できない場合、1,001人目のアクセスでは「〇秒待っていただくと購入画面に進むことができます」といった案内が自動で行われます。また、デフォルトの待機室テンプレートを利用するオプションもあるため、待機室の立ち上げや運用もさらに簡素化できます。

Cloudflare Waiting Roomは、ただの技術的な機能ではありません。適切に活用することで、貴社のビジネスにおける機会損失を防ぎ、顧客満足度を維持するための強力なツールとなります。

Waiting Roomが活躍する具体的な場面

Waiting Roomは、以下のような予測可能な、あるいは予測しにくいアクセス集中が発生するあらゆるオンラインサービスで真価を発揮します。

　◆Eコマースのセール・新商品発売時：限定品や人気商品の販売開始時にアクセスが殺到し、
　　サーバーがダウンするのを防ぎ、公平な購入機会を提供します。
　◆チケット販売・イベント申し込み：コンサート、スポーツイベント、オンラインセミナーなどの
　　チケットや参加登録が開始される際、システムが麻痺することなくスムーズに処理を進めます。
　◆メディア露出・テレビCM放映後：テレビ番組やSNSで自社サービスが取り上げられた際に、
　　一時的にアクセスが急増しても、サイトが安定稼働を続けます。
　◆教育機関の登録・試験受付：オンライン授業の登録期間や、資格試験の申し込み期間など、
　　特定の時期にアクセスが集中するサービスにも有効です。
　◆政府機関・公共サービスのオンライン申請：申請期間の開始時など、国民からのアクセスが
　　集中するシステムで、安定したサービス提供を支えます。

アクセリアがお手伝いできること

Cloudflare Waiting Roomは非常に便利な機能ですが、その導入や運用において「適切なしきい値の設定ができるか不安」「複雑な設定は避けたい」といったお悩みをお持ちかもしれません。アクセリアは、そうした貴社のお悩みを一緒に解決し、Waiting Roomの導入から活用までを強力にサポートします。

私たちは、お客様のウェブサイトの特性やトラフィックパターンを詳しくヒアリングし、最適なWaiting Roomの設定をご提案します。これにより、最大限のユーザーをサイトに誘導しつつ、サーバー負荷を効果的にコントロールすることが可能になります。

設定事例のご紹介

　・イベントの公開開始・終了日時のスケジュール設定
　　　▶日時指定でWaiting Roomの適用ができるため、そのスケジュール設定をいたしました
　・特定のIPやCookieによるバイパス設定
　　　▶サイトの管理者側はWaiting Roomに並ばずにサイトの状況確認を可能にする設定をいたしました
　・待機ページの文言の変更
　　　▶お客様で作成した画面に変更いたしました

アクセリア自社CDNの開発と運用は、20年以上にわたります。それらの経験とノウハウを駆使したプロフェッショナルサポートをパッケージしたサービスが、［Solution CDN］です。
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