FOSSASIA OpenTechSummit 2019 レポート

アクセリアの研究
未来はFOSSです
FOSSASIAはFOSS(フリーおよびオープンソースソフトウェア)の開発者とユーザーを結び付けるサミットです。FOSSは社会の変化に対応するソフトウェアアプリケーションをさまざまな技術を用いて開発している組織で、2009年に設立されました。プロジェクト範囲は、オープンソースソフトウェアからデザイン、グラフィックそしてハードウェアにまで及びます。(FOSSASIA



毎年開催されるFOSSASIA OpenTechSummitは、アジアで最大規模の開発者の集まりの1つであり、近年、ベトナム、カンボジア、シンガポールで開催されてきました。今年のOpenTechSummitはシンガポールで開催され、また、FOSSASIAの10周年記念を祝いました。大企業の代表者(IBMアジア太平洋地域の副社長、MicrosoftのOSSリーダー、GoogleのDeveloper Advocateなど)を含む約200人の講演者が集まり、3日間にわたって多くの講演、ワークショップ、および実践的なセッションが行われました。

イベントスケジュールを見ると、とても忙しいスケジュールであったことがよくわかると思います:


プログラムは下記のように構成されていました:
 ・各プログラム:人工知能、ブロックチェーン、クラウド、コンテナ、DevOps、サイバーセキュリティ、データベース、ハードウェア&デザイン、カーネルとプラットフォーム、モバイルテクノロジー、オープンデータ、インターネット、コミュニティ、サイエンスと教育、ウェブ技術
 ・クラウドとAIのワークショップ
 ・FOSSASIA Academy:新しい技術スキルの学習
 ・UNESCOとのOpenTech Hackathon:国際先住民族言語年

会期中は毎日、10周年記念祝パーティー、深夜のハックセッションだけでなく、バー巡りのようなイベントや、市内ツアー、文化的な朝のツアーなどの社交イベントもありました。また、IBM, UNESCO, Google, Microsoft, Facebook, FlowChain, MySQL/Oracleなどの多くの企業がブースを開設していました。
印象に残ったセッション
私が参加したたくさんのセッションの中から、印象に残った3つを紹介したいと思います。UNESCOの国際先住民族言語年のハッカソン、人工知能とパーソナルボイスアシスタント、そしてブロックチェーンについてです。

UNESCOの国際先住民族国際言語年ハッカソン
2019年は国連の国際先住民族言語年です。ユネスコのメンバーはFOSSASIA 2019によるプロジェクトを推進し、固有の言語、特に開発、和解、優れた統治および平和構築に関する問題とリスクについて重要な課題に直面しています。

ユネスコとのFOSSASIAハッカソンが開催され、先住民族の問題とその言語、先住民族の問題解決のために他の国でも利用できるような解決策がありました。



私は15人のメンターのうちの1人として、言語、ソフトウェア、またはオープンデータに関する議題を提起し、ハッカソン参加者をサポートしました。最終的に15件の優秀なプロジェクトが提出され、審査員は優勝者を選ぶのに苦労しました。

人工知能とパーソナルボイスアシスタント
人工知能についてのセッションは、入門コースから機械学習の概説までを扱い、驚くほど大きな枠組みで開催されました。代表としてMicrosoftのデータサイエンス担当ディレクターのGraham Williams氏の発表「MLHub - The Machine Learning」を紹介したいと思います。このプロジェクトを利用すれば、すぐにアクセス可能で実行可能な状態にある、構築済みの機械学習モデルおよびデータサイエンステクノロジを調査、再構築、さらには展開することさえも可能にします。

自分のモデルを構築し、それらをトレーニングし、展開に取り組むのに苦労したので、私もモデルとデータへのアクセスがより簡単に利用できるようにしたいと思います。

個人的な話になりますが、Graham氏と長く興味深い話をした後、彼が以前CTANプロジェクトに貢献していたことに気づきました。彼は私と同じくTeXの世界に関わっていました - 何という偶然でしょう。

このセッションの中でもう1つの重要なパートは、FOSSASIAプロジェクトSUSI.AIです。これは、パーソナルボイスアシスタント、特にプライバシーを意識したパーソナルアシスタントを開発するという目的があります。今のところ、このアシスタントはAndroid、iOS上で利用可能です。デスクトップにインストールすることができ、スマートスピーカーのためにRaspberry Piを使った開発設定を持っています。

SUSI.AIのスキル、およびすべてのソフトウェアはオープンソースであり、スキル開発はWikiのテキストインターフェイスで行うことができます。

Amazon(Alexa)とGoogle(Google Home)のプライバシーの問題を考えると、このプロジェクトには大きな可能性があると考えています。

ブロックチェーン
ブロックチェーンセッションは、AIセッションと比べるとかなり短かかったですが、非常に興味深いプレゼンテーションが含まれていました。 IBMのOng Khai Wei氏が、現在The Linux Foundationで開催されているHyperledgerプロジェクトについて話しました。このプロジェクトでは、いくつかのビジネスブロックチェーンフレームワークとツールをホストしています。

他のセッションでは、主にFOSSとブロックチェーンおよびスマートコントラクトの関係について議論されました。
TeX Liveプロジェクトについての発表
私はクロスプラットフォーム版ソフトウェアの配布、特にTeX Liveプロジェクトでの作業について発表しました。これは、ソフトウェアの開発と配布における大きな問題だと考えています。Goのような新しいプログラミング言語はいくつかのプラットフォームをサポートしていますが、TeX Liveプロジェクトがサポートしている約15のアーキテクチャ/オペレーティングシステムの組み合わせにはまだ長い道のりがあります。



FOSSASIAは大成功だったと思います。FOSSコミュニティの多くの興味深く影響力のあるメンバーや会社の代表者とコンタクトを取ることができました。個人的にもAI、ブロックチェーン、そしてパーソナルアシスタントについて多くのことを学び、SUSI.AIの実際のソフトウェア開発に関わることができたことは有意義でした。

FOSSASIAと会の主催者に感謝します。


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Norbert Preining

アクセリア株式会社 研究開発部社員
北陸先端科学技術大学院大学ソフトウェア検証研究センター 研究員
ウィーン工科大学 研究員
デビアン開発者
TeX User Group (取締役会員)、Kurt Godel Society (取締役会員)
ACM, ACM SigLog, 日本数式処理学会、ドイツ数学論理学会