無料CDNでサイトが高速化！無料版・有料版の比較と注目のCDNサービス5選

2023年5月11日

初心者でもわかるCDN

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はじめに

Webサイト運用者の立場としては、運用にかかる費用はできるだけ節約したいものではないでしょうか。しかしCDNサービスのように、読者の満足度とセキュリティ対策の両面を強化するために、投資をするほうが良い場合もあります。
CDNがどのようなサービスか見当が付かず導入を迷っているのであれば、無料版のCDNで機能の確認から始めてみるのも有効な手段です。この記事では、CDNの無料版・有料版の違いと、CDNを見直すべきタイミングについてご紹介します。

CDNとは

CDNの無料版・有料版の違いを知る前に、まずはCDNについておさらいをしましょう。

CDNの概要

CDN（コンテンツ配信ネットワーク：Content Delivery Network）は、コンテンツ配信の高速化を図る仕組みです。専用のキャッシュサーバを世界各地の配信拠点に設置し、Webサイトのコンテンツをコピー（キャッシュ）します。そのキャッシュを保持しているキャッシュサーバが、オリジナルのWebサイト（オリジンサーバ）の代わりに、コンテンツを届けるという流れになります。
CDNはアクセスが集中する時期があるECサイトや、大容量の動画コンテンツを保持するサイトでは、導入が必須と言えるサービスです。

参考コラム：CDNとは？CDNの基本からメリット・デメリット、業者選定のポイントを解説

CDNを導入するメリット

CDNを導入する主なメリットは下記の通りです。

Webサイトのコンテンツの表示速度を向上させる

CDNでは複数の配信拠点にあるキャッシュサーバのうち、ユーザに近い拠点からコンテンツを配信できます。これにより、オリジンサーバにアクセスを集中させることなく、スピーディにコンテンツを届けることが可能です。

サーバダウンを防ぐ

アクセスが集中するとコンテンツの表示が遅延するだけでなく、サーバダウンを起こす可能性があります。サービス停止は、企業経営への大きなダメージとなりかねないため、避けなければなりません。CDNは負荷を分散させることで、サーバダウンを防ぎます。

DDoS攻撃対策ができる

CDNは、不特定多数のIPからのアクセス攻撃であるDDoS攻撃対策にもなります。CDNを利用することでDDoS攻撃による負荷が複数のサーバへ分散されるため、オリジンサーバのダウンを防ぐことができるのです。

参考コラム：DDoS攻撃とは？攻撃を受けたらどうなる？基本の知識と対策

無料版がある主なCDNサービス

CDNは利用料金がかかるというイメージがあるかもしれませんが、無料版でもある程度CDNの機能を利用することが可能です。無料版を備えている代表的なCDNサービスを5つご紹介します。

Cloudflare

Cloudflareは導入の手順が簡単である点が特徴のCDNサービスです。
Cloudflareには、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃からサイトを守る機能「WAF（Web Application Firewall）」が標準搭載されています。WAFは、CDNや従来のファイアウォールのみでは防げないサイバー攻撃からサイトを保護することが可能です。
CloudflareはCDNサービスの中でも特に有名なサービスで、高いシェア率を誇ります。

料金プランは4つあり、Freeプランであれば機能制限はあるものの無料で使えます。

Akamai

Akamaiは130カ国以上、4,100カ所以上の分散型エッジプラットフォームをもつサービスです。大規模なキャッシュサーバを高速ネットワークでつなぎ、状況に応じて適切なサーバからコンテンツを配信する技術を有しており、その規模の大きさが強みとなっています。

Akamaiはトライアル期間であれば無料で使えます。

Amazon CloudFront

Amazon CloudFrontは、SlackやHuluなどの有名なサービスが利用しているCDNです。低レイテンシー（低遅延）かつ、高速・安全な配信を謳っています。DDoS攻撃に対しては、AWS Shield Standard を利用して追加料金なしで防御することが可能です。

無料利用枠がありますので、その枠内で試すことができます。

Fastly

Fastlyは動的サイトアクセラレーション (DSA) 機能を標準で搭載しており、コンテンツの高速配信を実現しています。パフォーマンスだけでなくセキュアな環境もFastlyの特徴のひとつであり、DDoS対策や次世代WAF、TLSサービスといったようなセキュリティ対策を利用可能です。Fastlyを利用している日本のサービスとしては、プレスリリース配信サービスであるPR TIMESが挙げられます。

Fastlyもまた、無料トライアルで試用できます。

CDNetworks

CDNetworksはシンガポールに本社を置くCDNサービスです。世界中に分散配置されている200以上の配信拠点から、高速配信が行われています。CDNetworksは主にインドネシアやタイなどアジアで利用されており、中国やロシアにも対応可能です。

CDNetworks には、2週間の無料トライアルがあります。

CDN無料版と有料版の違い

CDNの無料版と有料版では、使える機能や性能が違います。その違いを、Cloudflareを例にご紹介します。

Cloudflare無料版（プラン：Free）でできること

Cloudflare無料版では、下記の機能が利用できます。

・DNS……「1.1.1.1」というDNSリゾルバを使います。
・DDoS対策……OSI参照モデルで言うネットワーク層、トランスポート層、アプリケーション層に対するDDoS攻撃から保護します。
・CDN……世界285ヶ所のCloudflareデータセンターを活用したCDNサービスです。
・SSL証明書……既存のSSL設定との互換性があります。SSLを利用していない場合は、CloudflareのSSL機能を利用できます。
・WAF……操作しやすい画面でWAFの設定が可能です。

Cloudflare有料版（プラン：Pro, Business, Enterprise）でできること

有料版では、無料版で使える機能に加えて下記の機能が使えるようになります。

・画像の最適化……ロスレス（損失なし）の画像圧縮方式を利用して、平均で35％の画像サイズを縮小できます。
・モバイルページの最適化……モバイルページでの画像読み込みのパフォーマンスを向上させます。
・その他、稼働率を保証するSLAやネットワークの優先順位付けなど（Business, Enterprise）

プランの料金比較

各プランの料金は下記の通りとなっています。

Free：0ドル/月
Pro：20ドル/月
Business：200ドル/月
Enterprise：カスタム

なお各プランとも、アドオンについては別途料金が必要です。

CDNサービスの有料版を検討する目安

無料版でも自サイトにとって機能が十分であれば良いのですが、有料版へ切り替えるほうが望ましいケースもあります。次のようなときは、有料版を検討するほうが良いかもしれません。

トラフィック量の増加で高速化が必要になったとき

トラフィック量が増加すると無料版のままでは十分にキャッシュができず、高速配信が叶わない場合があります。有料版であれば、ある程度トラフィック量が増えても高速化を図れます。

Webサイトの表示速度については、PageSpeedInsightsを利用すれば簡単に計測することが可能です。PageSpeedInsightsは、Webに関するさまざまな指標から、総合的に合格か不合格かを評価する機能を有しています。

参考コラム：CDNでPageSpeed Insightsのスコアを上げよう！SEOで取り組みたい表示速度改善

セキュリティ対策を強化したいとき

セキュリティ対策を強化したいときも、有料化を検討すべきタイミングです。無料版では使えなかったセキュリティ対策の機能が、有料版だと使えるケースがあります。またCDNサービスによっては、同じセキュリティ対策の機能でもプランによって性能が異なるケースがあるので注意しましょう。

運用サポートが欲しいとき

無料版の場合には、ドキュメントやFAQページなどは使えるものの、基本的にセキュリティ専門家によるサポートは受けられません。有料版の場合にはおおむね、手厚いサポートが付いてきます。自サイトにどの程度の機能があれば良いのか、専門家と相談することも可能です。

まとめ

CDNの概要から主なサービス、無料版・有料版の違いについて、簡単にご紹介しました。
Webサイトの規模によっては、有料版に切り替えたほうがWebサイトの表示速度アップとセキュリティ対策の点で費用対効果が高くなる可能性があります。無料版で十分に対策ができているかどうかが不安な場合には、CDNサービスを提供しているセキュリティの専門家に問い合わせてみることをおすすめします。