Cloudflare R2 Storageが一般公開-エグレス料金なしで使用できるクラウドストレージの魅力
はじめに
Cloudflare R2が2022年9月に一般公開
「Cloudflare(クラウドフレア)」は、CDN機能を基本に、DDoS攻撃対策やWAF、DNSなど多彩な機能を提供しています。
「Cloudflare R2」はCloudflareの製品群に属するもののひとつで、クラウド型のオブジェクトストレージサービスです。Amazon S3と同類のサービスで、S3と互換性があります。
Cloudflare R2は長らくベータ版でしたが、2022年9月に一般提供が開始されました。
Cloudflare R2の最大の特徴は「エグレス料金不要」
下り通信(エグレス)料金が不要
下り通信のことをエグレス(egress)といいます。通常クラウドストレージサービスから保存済みのデータをダウンロードする際には、エグレス料金がかかります。多くのクラウドベンダーでは、上り通信(イングレス)にかかる料金は無料ですが、下り通信に対してはエグレス料金を課しているのです。
エグレス料金は、リージョンが異なるデータセンターや別のクラウドサービス、オンプレミスにデータを移動するときなど思わぬ場合に発生することがあります。このコストが、利用中のクラウドサービスから他の方法へ乗り換えを検討する際のネックとなっていました。
Cloudflare R2ではエグレス料金はかからないと明言されており、今後もエグレス料金は課されないものと見られます。実際にCloudflareの共同創設者 兼 最高経営責任者(CEO)であるマシュー・プリンス氏は、Cloudflare R2の一般公開時に発表したプレスリリースの中で「(Cloudflare) R2 Storageにエグレス料金を課すことは永遠にありません」と発言しています。
なおCloudflareの公式サイトでは、コストの削減量を計算することが可能です。Cloudflare R2を利用してどのくらいコストが削減できるか、現状のクラウドストレージと比較してみましょう。
CLOUDFLARE R2 Pricing Calculator
https://r2-calculator.cloudflare.com/
ベンダーロックインを防ぐ
ベンダーロックインとは、特定のベンダーがもつ独自技術に過度に依存している状態であるために、システムの導入や移行が困難になる現象のことです。ベンダーロックインから抜け出せない状態になると、コスト・工数の観点からデータの移行が困難になる、DX化の推進が妨げられるなどの問題が発生します。
Cloudflare R2ではエグレス料金がかからないため、開発者が自由にデータを移動できるようになります。またAmazon S3 APIと互換性があり、比較的導入が容易です。これらは、ベンダーロックインのない状態といえます。
R2とS3の価格については、下記の検証記事をご参照ください。
参考コラム:Cloudflare R2(beta)を動作検証ーS3との比較やGUIの使い勝手も確認 |
Cloudflare R2の魅力
Cloudflare R2には、エグレス料金がかからないことの他にも、次のような特徴があります。
リージョンが自動的に選択される
一般にクラウドストレージでは、実際のデータセンターが所在する地域となる「リージョン」を指定する必要があります。一方のCloudflare R2ではデータの保存場所は自動的に最適化されるため、リージョンを指定する必要はありません。
Cloudflare R2はバケットと呼ばれるオブジェクトのコンテナを作成する際、リクエストされた場所に最も近く、かつ利用可能なリージョンを自動的に選択します。
Cloudflare Workersとの統合
Cloudflare Workersは、サーバーレスアプリケーションを構築できるホスティングサービスです。Cloudflare R2とWorkersを組み合わせると、Worker内APIが使え、パフォーマンスにかかる動作時間なしでデータに関するカスタムロジックを追加できます。
ただし料金については、WorkersとR2の両方の料金がかかることに注意が必要です。
Presigned URL(署名付きURL)の作成
Cloudflare R2ではPresigned URL(署名付きURL)を実装しています。これは、ユーザーが複雑な操作をすることなく、安全かつ適切にオブジェクトにアクセスできる仕組みです。署名付きURLはオブジェクトと操作の組み合わせを指定し、ユーザーに手間をかけることなく権限を渡すことができます。
公開バケット機能
Cloudflare R2では、R2バケットを「公開バケット」とすることで、認証されていないリクエストに対してもバケットを公開することが可能です。この仕組みを利用するとCloudflare R2のデータ上で、ボット管理などCloudflareの他の機能をシームレスに有効にできます。
移行ツール「R2 Super Slurper」
他のクラウドサービスからCloudflare R2に移行するには、いくつか選択肢があります。しかし何TBものデータを移動させるのは難易度が高く、また人的コストも高くなりがちです。
2023年5月に一般公開された「R2 Super Slurper」を用いると、S3 から R2 バケットへ、オブジェクトを迅速かつ簡単にコピーすることが可能です。R2へ移行されたデータは、エグレス料金がかからなくなります。
Cloudflare R2の今後の展開について
Cloudflare R2は今後、「アクセスされてからXX日後にオブジェクトを削除」というようにオブジェクトに対してポリシーの設定ができるようになると想定されています。
Cloudflare R2の適切な活用にはアクセリアのCDNサービス「Solution CDN」
企業ならではの課題や要望に応じて、適切にCloudflareを活用できるようにサポート。またWebサイトのパフォーマンスを最大化させ、DDoS攻撃対策をはじめとして、セキュリティ対策の強化も行えます。
Cloudflare R2のご利用についても、不安なことがございましたらぜひご相談ください。
▶Cloudflare導入・運用支援サービス Solution CDN
まとめ
これまでコスト高や移行がシステム開発・運用のネックになっていた場合はぜひ、Cloudflare R2を検討してみてください。
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