CDNを災害時の備えに!絶対に停止させてはいけないサイトのアクセス集中対策

はじめに
災害時にもWebサイトを有効利用するには、CDNの活用をおすすめします。この記事では、災害時に起こる通信障害の事例や、平常時に準備しておくべきことを見ていきましょう。
災害時のインターネット利用とWebサイトの重要性

災害時は災害に関する情報収集のため、テレビやラジオ、新聞、固定電話などが使われます。その中でも現在では、多くの方がスマートフォンを所持しているため、スマートフォンでWebサイトやSNSを検索するなど、インターネット上の情報収集が盛んです。
特に自治体や電気・ガスなどの社会インフラのWebサイトへは、災害時に情報を得たい人により、アクセスが急増する傾向にあります。自治体や社会インフラのWebサイトは、万が一停止して一般の人々が情報を得られなかった場合は人命にかかわるため、「絶対に停止させてはいけない」サイトなのです。また緊急時の情報は被害状況や避難指示などを伝えるため頻繁に更新されるものであり、Webサイトはその更新による負荷にも耐えなければなりません。
一方で自治体や社会インフラのWebサイトは、平常時には緊急時ほどのアクセス集中はないため、緊急時を基準としてサーバーの強化を行うとコスト高となってしまいます。平常時には、コスト面を考えながら緊急時のアクセス集中対策を行うことが肝要です。
災害やアクセス集中時のサイト運用方法を平常時に考えておくことは、自治体や社会インフラのWebサイトのみならず、一般企業のBCP対策としても重要です。
過去に起きた災害による通信障害の例
災害そのものによる通信障害
大型台風の上陸によってある地域で停電が起こり、都道府県の防災ポータルサイトをホスティングするデータセンターが停止し、通信障害となる事態が発生。この自治体には通信事業者などからの情報提供は特になかったため、通信障害の原因特定には時間を要しました。その間、通信障害が起きた地域には自治体の職員などが歩いて支援情報を届けることとなりました。
災害時のアクセス殺到による閲覧障害
停電や機器の損傷などの物理的な原因ではなく、アクセス殺到による閲覧障害もあります。
・【例1】災害情報へのアクセス集中
台風により、東京都を含む複数の都道府県に大雨特別警報が出され、多くの方がインターネットで情報収集した結果、通常のピークを超えるトラフィック量となったケースがあります。この結果複数の自治体で、避難情報やハザードマップが掲載されているWebサイトや災害情報の配信サイトなどがつながらない状況となりました。
・【例2】インフラの復旧方法へのアクセス集中
最大震度6弱を観測した近畿地方の地震において、地震の揺れによって住宅のガスメーターがガスの供給を遮断しました。その後住民がガスメーターの復旧方法を確認すべく、ガス会社のWebサイトにアクセスが集中した結果、Webサイトが一時ダウンする事態にまで発展しました。このケースでは、有志によりガスメーター復旧情報のスクリーンショットがSNSで共有され、多くの人に情報が届けられました。
・【例3】APIリクエスト数の上限到達で閲覧不可に
災害時の避難勧告の対象区域をビジュアル的に表示させるため、大手地図アプリケーションを利用している自治体が多くあります。ある自治体では、この地図アプリのライセンスを無料プランで利用しており、APIリクエスト数の制限が1日あたり25,000アクセスまでとなっていました。このプランのまま実際に災害が起こった際、アクセス集中によりAPIアクセス数の上限を超えてしまい、避難勧告の対象区域が地図アプリで閲覧できなくなりました。この反省から、現在では地図アプリに代えてPDFファイルを掲載しています。
事前対策:アクセス集中の負荷を軽減する方法
災害用の軽いコンテンツを作る
避難情報をできるだけ早く提供するためには、災害用にテキスト主体の軽量なコンテンツを用意しておくのが望ましいでしょう。画像情報が必要な場合にも、できるだけ画像ファイル自体の容量を小さくし、画像点数を少なくするなどの工夫が必要です。
災害用のコンテンツは普段から公開しておくと、検索サイトでも検索結果に表示されるようになり、検索サイトを通じて情報にアクセスできる可能性が上がります。
サーバーの増強やCDNの導入
Webサイトをホスティングするサーバーを、緊急時のアクセス負荷に耐えられる程度のスペックにすることも、方法のひとつです。
またアクセス集中の負荷を分散できるCDN(Content Delivery Network)を利用する方法もあります。CDNは東京都が提供している「アクセス集中対応のためのガイドライン」にも掲載されている対策です。
災害対策としてのCDN

CDNとは
CDNとは、Webサイトのコンテンツを世界中に分散した配信拠点のサーバーにコピー(キャッシュ)し、そのキャッシュサーバーからコンテンツを配信する仕組みです。キャッシュサーバーがオリジンサーバー(オリジナルのWebサイト)の代わりにコンテンツを届けるため、オリジンサーバーへのアクセス負荷を軽減できます。災害時には、災害地域以外に設置されているキャッシュサーバーからのコンテンツ配信となる可能性があり、迅速なコンテンツ配信に役立ちます。
CDNを導入するメリットは平常時にもあり、Webサイトの表示速度向上やサイバー攻撃の一種であるDDoS攻撃の防御も可能です。
CDNについての詳細は、下記記事をご参照ください。
![]() | 参考コラム:CDNとは?CDNの基本からメリット・デメリット、業者選定のポイントを解説 |
CDNを災害時に有効利用するためのコツ
災害時のWebサイトは、被害状況などが時間の経過によって変化していくため、頻繁に情報を更新することになります。しかしCDNはキャッシュしたコンテンツを配信する技術であるため、古い情報が配信される可能性があります。
そのため災害時には、CDNのキャッシュの有効期限である「TTL(Time To Live)」を短く設定することが必要です。TTLは、比較的ページサイズが大きく更新頻度が低いコンテンツの場合は長く、ページサイズが小さく更新頻度が高いコンテンツの場合は短くするのが基本です。したがって更新頻度が高い災害情報の場合は、TTLを短くするのがよいでしょう。ただしTTLを短くするとキャッシュサーバーに負荷がかかるため、CDNを導入する場合でもやはりコンテンツを軽くしておくことが必要です。
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Cloudflareは海外のソリューションですが、アクセリアではCloudflareの専門知識を持った日本人エンジニアが導入を支援、企業や組織の状況にあったご提案が可能です。

まとめ
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